岐阜県高山市の介護施設「それいゆ」で2017年8月、入所女性2人を死傷させたとして、傷害致死と傷害の罪に問われた元職員の男性被告(36)の裁判員裁判で、岐阜地裁は8日、求刑通り懲役12年の判決を言い渡した。
昨年12月から計12回審理し、今年1~2月に少なくとも6回の評議(非公開)が行われた。被告の犯行を裏付ける直接証拠はなく、検察側は職員や識者らへの証人尋問で証言を積み重ねるなどして立証を図った。弁護側は「介護で起きた事故だった」として無罪を主張していた。
施設では、2人を含む入所者5人が約半月の間に相次いで死傷し、その全員を担当していた男性被告が19年に逮捕、起訴された。事件を巡る明確な物的証拠や目撃証言がないことから、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立。双方が裁判官を交えて争点を明確にし、審理計画を立てる「公判前整理手続き」は2年以上と長期化していた。