日本相撲協会は大相撲夏場所(両国国技館)を2週間延期。5月24日初日-6月7日千秋楽の開催へ動いているが、同じく2週間延期を発表した7月の名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)開催に大問題が起きている。
初日を7月5日から7月19日に変更し、8月2日に千秋楽とする新日程を3日に発表。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「(体育館が)他の行事で埋まっている可能性もある。これから担当が調整に入る」と見切り発車をにおわせていたが、信じがたいことに、いまだ根回しはゼロだった。
大相撲は升席の撤去があるため、場所後5日間は会場を押さえなければいけない。ところが千秋楽8月2日の同体育館にはすでに、「武神 KARATE ALL JAPAN CUP 2020」(主催・新日本総合空手道連合会 武神)の予定が入っている。
イベント主催者は「まったく(連絡は)ありません。ビックリして体育館に確認したら、『聞いていない。(主催の)相撲協会と中日新聞社が勝手にしたこと』と言っていました。うちだけではなく、他にも予約を入れているところがあると聞いています」とフライング発表に戸惑うばかり。
武神はフルコンタクト空手の中部地区最大の大会で、全日本クラスの小学生から高校生まで約2000人が参加。「1年前から押さえているし、筋が違う感じがする。うちは強い姿勢で臨んでいる。今さら他の会場というわけにはいかないし、体育館からは『どくことはないから、安心してください』と言われています」と優先権を訴える。
学校が夏休みに入る時期で、ドルフィンズアリーナと支度部屋で使用される第二競技場は予定でギッシリ埋まっており、とても大相撲を開催できる状況にない。
芝田山部長は「状況によっては名古屋で本当にできるかどうか」とも話しており、相撲協会の認識はあくまで「七月場所」で「名古屋場所」は通称。ウルトラCとして、両国国技館で7月場所開催も浮上するが、これを中日新聞社が許すとは考えられない。
最終的にどこが泣きを見るのか。国技を名乗る団体が、こんなずさんな日程の決め方をしているとは驚くばかりだ。
また、緊急事態宣言が出た7日、夏場所について芝田山部長は「開催するという気持ちに変わりはない。大阪(春場所)の時より感染者が増えている。その時以上に緊迫感を持って対応しないといけない」と方針を示した。
春場所では、力士らが公共交通機関ではなくタクシーなどで移動。しかし東京場所は部屋が広範囲に点在し、自宅が国技館から遠い協会員もいるため、芝田山部長は同様の措置が難しいとした。