フジテレビで放送中の長寿アニメ「サザエさん」（日曜後6・30）が、17日の放送分から当面の間、再放送となることが決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、新作の制作が困難になった。同作が再放送対応となるのは1975年以来、45年ぶりとなる。
69年に放送がスタートし50年以上の歴史を誇る国民的番組。第1次オイルショックの影響で75年に1カ月間、新作の放送をストップしたことがあった。この時は、制作費用の高騰が原因だったとされる。
今回は新型コロナの感染リスクの高いアフレコ収録ができなくなったため。サザエ役の声優加藤みどり（80）は、先月4日に出演したラジオで「（同番組が）無期限録音中止になっちゃった」と明かしていた。関係者も「密閉空間に多くの声優が集まって収録を行うアニメの現場は“3密”の条件を全て満たす。声優陣も高齢者が多く、やむなくの決断となった」と明かしている。
今回再放送されるのは、2年前の18年5月27日に放送された「夫婦は以心伝心」「宿題ちゃん、こんにちは」「父さん危機一髪」の3作。今年3月21日に直腸がんのため亡くなった声優の増岡弘さん（享年83）もマスオ役で出演している。
オープニングは現在の「東京バージョン」が放送されるという。番組ラストで恒例となっている「じゃんけん」についても当時放送されたものとは別の素材を使う予定だ。番組は昨年に放送50周年を迎え、実写版や舞台製作などさまざまなキャンペーンを展開していた。コロナ禍が終息し“国民的家族”の日常が戻ってくる日が待たれる。
≪ちびまる子ちゃん、ポケモンも…≫「ちびまる子ちゃん」（フジテレビ）や「ポケットモンスター」（テレビ東京）など、多くの人気アニメもアフレコ収録が行えず、再放送の対応となっている。これらの番組は過去の放送分のストックが十分にあるが、新作アニメは新型コロナ禍の影響が大きい。現在国内では年間100本前後のアニメが放送されている。「キングダム 第3シリーズ」（NHK総合）、「デジモンアドベンチャー:」（フジテレビ）などはすでに放送延期を決定している。
