鶴岡市の加茂レインボービーチ海水浴場を運営する鶴岡市加茂地区自治振興会(田中正志会長)は、救護所の看護師や監視員が確保できなかったとして、今年の海水浴場開設を見送る方針を固めた。救護所をはじめ監視塔、シャワーやブイの設置はなくなる。加茂レインボービーチの指定管理者の鶴岡市開発公社は今後、遊泳の可否など施設の在り方について県や自治振興会と検討するという。
加茂レインボービーチは国と県が2002年に造成した人工砂場・磯場。海に親しんでもらおうと、同自治振興会では同年から毎年、看護師、監視員の計5人態勢で海水浴場を開設してきた。
救護所人員の人件費やブイの設置など、安全確保に充てる市の遊泳場事故防止対策事業補助金の助成はあるが、看護師や監視員といった人員の確保は海水浴場の運営主体である各自治組織の観光協会などが担っている。
加茂地区自治振興会では、これまで警備会社に監視員の派遣を依頼していたが5月に入ってから人手不足を理由に断られ、他の業者や個人的なつても当たったが難航。救護員の看護師についても確保に窮し、広報などで周知の努力はしたもののシーズン中ほぼ常駐できる条件に合う人を見つけられなかった。
昨年救護所には計320人が救護を求めており、1日の最多は8月6日の55人だった。磯場において足裏を切ったなどのけが人がほとんどで、同自治振興会では「救護所を設けずには最低限の安全確保ができない」と判断。20日に鶴岡市へ方針を伝えた。
田中会長(70)は「磯場で遊べる海水浴場として親しまれ、加茂のにぎわいづくりにと開設してきた。残念」とした。
市内にある他の湯野浜、由良、三瀬、小波渡の4海水浴場とマリンパークねずがせきはこれまで通り開設予定。
それぞれの自治会や各観光協会でも監視員などの人手不足は課題で「何とか確保できた」と口をそろえる状況となっている。