議長選出が難航している沖縄県与那国町議会は10日も決まらず、議案審議できない異常事態が続いている。開会から連日続く議長選はすでに39回に上った。勢力が拮抗(きっこう)する与野党双方に過半数を維持したい思惑があるが、機能不全の議会に識者は「議会そのものの存在意義を失わせる。もう解散するしかないのでは」と指摘する。
会期日程は当初の「申し合わせ」では11日までとしたが、議長不在のため正式な日程も決まらないまま今後も開会し続けるという。
10日の県町村議会議長会の総会は欠席となり、11日の県離島振興市町村議会議長会も出席できない状況。八重山広域市町村圏事務組合議会議員の選任もできず、影響が広がっている。
町は防災行政無線のデジタル化の経費や、定数4人増に伴う議員報酬などを盛り込んだ約6億8千万円の補正予算案を上程する予定だったが、審議できないため、12日にも専決処分を行う方向で調整している。
議長選は9月定例会が開会した9月28日から連日実施。いずれも与党側は野党1人に、野党側は与党1人に投票するため同数で並び、地方自治法に基づく「くじ引き」で選んでも当選者が辞退を繰り返している。
琉球大学の島袋純教授(政治学)は「慣例で拘束力は無いが議会運営上、与党から議長を出すのが原則」とした上で、「与野党問わずどこかで折れて決着をつけなければ、議会自体が存在しなくてもいいことになる。このままでは議会の自殺行為だ」と述べた。