台風12号 西寄りの異例のコースで東海から近畿に上陸のおそれ
2018年7月28日 8時54分
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強い台風12号は、勢力を保ったまま28日夜から29日未明にかけて東海から近畿に上陸するおそれがあります。西寄りの異例のコースを進むため、雨や風の強まる場所などが通常と異なり、これまでの経験が通用しない可能性があるとして、気象庁は土砂災害や川の増水、暴風、高波などに警戒するとともに、状況が悪化する前の早めの避難を心がけるよう呼びかけています。
気象庁の発表によりますと、強い台風12号は、午前9時には伊豆諸島の八丈島の東南東330キロの海上を1時間に40キロの速さで北北西へ進んでいるとみられます。
中心の気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速は55メートルで、中心から半径130キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。
台風は次第に進路を西寄りに変える見込みで、28日夕方から夜にかけて伊豆諸島に近づき、その後、強い勢力を保ったまま28日夜から29日未明にかけて東海から近畿に上陸するおそれがあります。
西寄りの異例のコースを進むことから、雨や風の強まる場所や雨の降り方などが通常の台風と異なり、これまでの経験が通用しない可能性があります。
大雨
台風周辺から湿った空気が流れ込み、関東甲信や東海を中心に雨が降っていて、午前6時までの1時間に千葉県が旭市に設置した雨量計で43ミリの激しい雨を観測しました。
東日本と西日本では29日にかけて、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降り、特に関東甲信や伊豆諸島、東海では局地的に1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降るおそれがあります。
また、西日本豪雨の被災地でも、29日は非常に激しい雨が降り大雨となる見込みです。
各地で台風の通過後も南から湿った空気が流れ込むため、長時間、雨が降り続くおそれがあります。
29日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで、
▽関東甲信と東海で400ミリ
▽伊豆諸島で300ミリ
▽近畿で250ミリ
▽四国や北陸、東北で150ミリ
▽中国地方で100ミリと予想されています。
さらに、29日朝から30日朝までの24時間に降る雨の量は、
▽四国と九州北部で200ミリから300ミリ
▽近畿と中国地方で100ミリから200ミリ
▽東海で100ミリから150ミリと予想されています。
暴風
台風の接近に伴って、急激に風が強まることにも警戒が必要です。
東日本と西日本の太平洋側では、海上を中心に猛烈な風が吹くおそれがあります。
29日にかけての最大風速は
▽東海と伊豆諸島で40メートル
▽関東と近畿で35メートル
▽中国地方と四国で25メートル
▽北陸と九州北部で20メートル
最大瞬間風速は、
▽東海と伊豆諸島で55メートル
▽関東と近畿で50メートル
▽中国地方と四国で35メートル
▽北陸と九州北部で30メートルに達すると予想されています。
猛烈な風が吹く中で屋外に出るのは極めて危険です。特に東海や伊豆諸島で予想される40メートルという風速は、気象庁によりますと、住宅が倒壊したり、鉄骨の構造物が変形したりするおそれがあるということです。
高波・高潮
さらに、海では猛烈なしけにも警戒が必要です。
波の高さは、
▽関東と伊豆諸島、東海で10メートルの猛烈なしけになるほか、
▽東北で7メートル
▽近畿で6メートルの大しけとなる見込みです。
また、今は1年で最も潮位が高い時期で高潮も起きやすくなっています。
気象庁は土砂災害や川の増水、低い土地の浸水、暴風や高波、高潮に警戒するとともに、状況が悪化する前の早めの避難を心がけるよう呼びかけています。
特に西日本豪雨の被災地では、土砂災害や川の氾濫が起きやすくなっているほか、避難場所への経路も以前とは状況が変わっているところがあります。
自治体からの避難の情報に注意し、明るいうちに避難を済ませるなど備えを進めてください。