携帯電話番号を使うショートメッセージサービス(SMS)を悪用した架空請求の被害が後を絶たない。
不特定多数に有名企業や団体をかたるメールを送り、不安につけ込む手口が目立つ。今月9日には携帯電話3社が、画像や長文をやりとりできる新たなSMSアプリを公開することもあり、警察や消費者庁は「怪しいと思ったら相談を」と呼び掛ける。
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが基本ソフト「アンドロイド」搭載スマートフォン向けに配信を始める「+(プラス)メッセージ」。これまで1回に送信できるのは70字までだったが、2700字以上送れるようになる。画像や動画も送信可能で利便性が向上する一方、警視庁幹部は「督促状のような画像や脅し文句の入った文章を送り付け、被害が拡大する可能性もある」と警戒する。
国民生活センターによると、架空請求全体の相談件数は2016年度に約8万件だったが、17年度には約18万件に急増。「未納の有料動画の料金を支払わなければ裁判に移行する」といった文言のメールで支払いを強要する詐欺が横行している。ネット通販のアマゾンジャパンを装った架空請求は15年6月~17年9月に少なくとも約400件、計約1億2000万円の被害があった。
携帯会社も対策に乗り出している。ソフトバンクは17年9月、愛知県警と協定を締結。県警が提供する実際の犯行に使われた番号からのメールに警告を出すアプリ「迷惑電話ブロック」を配信している。半年間で約10万件のメールを検知した。
ただ、番号が登録されるまでに時間がかかるため、万全ではない。消費者庁財産被害対策室は「知らない番号からのメールは無視して」と強調。不安な場合は消費者ホットライン(188)か、警察相談専用電話(#9110)に相談するよう求めている。