国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフェザー級王者の尾川堅一(29)=帝拳=が先月の同級王座決定戦(米ネバダ州ラスベガス)のドーピング検査で、筋肉増強作用のある禁止薬物「テストステロン」の陽性反応を示していたことが19日、関係者への取材で分かった。同州の格闘技の試合を統括・認可する同州アスレチックコミッション(NSAC)が検査したもので、IBFがこの試合を無効試合として尾川の王座を剥奪する可能性も出てきた。これまで世界タイトルマッチで日本人選手がドーピング違反になった例はない。IBFは今後、尾川サイドへの聴取などを踏まえ、王座の取り扱いなどの判断を下すとみられる。
同級4位だった尾川は先月9日、王座決定戦で同級5位のテビン・ファーマー(米国)に2-1の判定で勝ち、日本人選手として36年ぶりに米国で世界王座奪取を果たした。尾川は試合当日の検査では陰性だったが、試合数日前の抜き打ち検査で陽性だったという。本田明彦・帝拳ジム会長は「検査時に通訳不在で言葉が通じず、アトピーの薬の申告漏れがあった。飲んだ薬については既にNSACに報告しており、問題ないと思っている」と説明している。
尾川は愛知県出身で、明治大卒業後の2010年4月にプロデビュー。戦績は23勝(17KO)1敗。