部活動のランニング中に徘徊(はいかい)していた高齢女性を見つけて保護したとして、山形県警鶴岡署は1日、鶴岡市立鶴岡第一中2年、伊藤望愛(のあ)さん(14)に感謝状を贈った。伊藤さんは女性を見つけた後に自宅まで約3キロ走って母親に助けを求め、車で女性宅に送り届けた。伊藤さんは「勇気を出して声を掛けて良かった」と笑顔で話した。【長南里香】
伊藤さんが同市内の女性(79)を見掛けたのは、1月20日午後7時半過ぎごろ。陸上部の自主トレーニングでランニング中だった。雪の中を薄手の防寒着で歩いているのを見て心配に思ったが、最初はそのまま通り過ぎた。だが気になって引き返し、「こんばんは。おばあちゃん、どこに行くの」と声を掛けたという。
女性は「大塚町の家に行きたい」と答えたが、指した方向は自宅とは逆だったという。また、「腰が痛くて、もう歩けない」と途方に暮れた様子だったので、近くの自販機の脇にあった椅子に座らせて、すぐに戻ってくると告げた。自宅まで約3キロを走り、母親(35)に告げて車で一緒に戻り、女性の自宅に送り届けた。ただ、女性の言うことが二転三転し、見つけるのに苦労したという。女性は1人暮らしで、「ありがとう」と喜んだという。この後、母親が交番に電話したという。
この日に同中であった贈呈式で、尾崎秀真署長は「声を掛けてくれなかったら、おばあちゃんは危ない状況でした。どうもありがとうございました」と伊藤さんの勇気をたたえた。付き添った伊藤さんの祖父の阿部広さん(63)=同市みどり町=は「私たち年寄りに優しくしてくれる孫です。困っている人の役に立てて良かった」と目を細めていた。