熱戦が続くリオデジャネイロ五輪。日本人選手のメダルラッシュを受け、NHKの競技中継では、チャイム付きの速報テロップ(NHKニュース速報)が連日のように表示されている。「中継を見ていれば分かる」テロップを、わざわざ表示するのはなぜなのか-。理由を探った。(三品貴志)
「見てたから知ってるよ」「なぜ生中継の最中に、その内容が速報でテロップ出るんだ?」
NHKのリオ五輪中継をめぐり、ツイッター上にはそんなツッコミや疑問の声が相次いでいる。
NHKが放送中の内容について速報テロップを出すのは、今に始まったことではない。五輪などのスポーツ中継に限らず、最近では8日、天皇陛下のビデオメッセージを放送した直後、「天皇陛下 お気持ち表明」「『生前退位』の意向 強くにじむものに」などのテロップを表示したことは記憶に新しい。
ツイッターには、五輪中継について「恒例のNHKの無駄テロップきた(笑)」などとクールに受け止める声も上がっている。ただ、日本のメダルラッシュに伴うテロップ続出が、多くの視聴者に違和感を与えているようだ。
そもそも、速報テロップを出す理由とは-。NHK広報部は「重要なニュースであることを伝えるため、中継などの最中でも出すようにしている」とした上で、「そのニュースを中継していないNHKのほかのチャンネルを見ている方に、お知らせする狙いもある」と説明する。
NHKは、テレビ放送だけで(1)総合テレビ(2)Eテレ(3)BS1(4)BSプレミアム-の4波を抱える。速報テロップは4波に一斉送信することができるため、対象競技を中継していないチャンネルの視聴者にも、リアルタイムで結果を伝えられる効果があるというわけだ。なお、五輪の場合、「原則として、日本選手がメダルを獲得した場合」に速報テロップを表示するようにしているという。
ちなみに、BS1とBSプレミアムでは今年2月から、録画再生時に限り、速報テロップが「消せる」ようになった。テロップの送信方法を変更したことで、一部の対応テレビで視聴者がテロップの表示・非表示を選択できるようになったのだ。
映画や舞台などの芸術作品を放送する機会の多いBS放送に対し、視聴者から「録画が台無しになった」「何か対策を取って」といった声が相次いでいたためだという。
地上波の総合テレビとEテレについても「できればBSと同じ方式にして」との意見も寄せられているが、NHKは「今のところ実施する予定はない」としている。災害をはじめ、重大ニュースを伝える目的がある一方、場合によっては蛇足にもなってしまう速報テロップ。テレビ局側にとっては“痛し痒し”なのかもしれない。