夜だるま昆布長の、カウントギリギリ!(;゚д゚)(つд⊂)

Yahoo!ブログより移籍いたしました、夜だるま昆布長と申します。自身障がい者で、施設に通所しながら、日々アビリンピックの練習や、個人新聞を製作しています。Officeむいんぐ代表。林家木久扇名付け人です。山形県鶴岡市。

夜だるまスポーツ

佐藤寿人があえて口にした“苦言”
 年間総合勝ち点1位のサンフレッチェ広島の年間チャンピオン獲得と、元日本代表主将の井原正巳監督に率いられるアビスパ福岡のJ1昇格決定で幕を閉じた2015年のJリーグ。従来とは異なる開催方式で新設されたチャンピオンシップで見せた盛り上がりは、歯を食いしばりながら過密日程を戦い抜いた選手たちの頑張りのうえに成り立ったことを忘れてはいけない。J1昇格プレーオフ決勝のスタジアム選定で露呈した中立性を含めて、来シーズンへ向けた課題は山積している。

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 師走の喧騒に包まれている御茶ノ水界隈。8日に行われたJ1・J2・J3合同実行委員会を終え、JFAハウスを後にする実行委員の一人が、2日前に全日程を終えたばかりのJリーグを端的な言葉で総括する。

「いずれにしても、100点満点はないわけだから」

 2ステージ制を11シーズンぶりに復活させ、従来とは異なる開催方式のチャンピオンシップを新設した2015年シーズン。必死にプレーした選手、声をからせて応援したファンやサポーターに与えた違和感のなかで最大のものをあげるとすれば、それは12月第1週の週末に集約されるだろう。

 まずは12月5日。エディオンスタジアム広島史上で歴代4位の数字となる3万6609人の大観衆が熱い視線を送るなかで、年間王者となったサンフレッチェ広島の選手たちが咆哮をとどろかせた。

 この4年間で頂点に立つこと3度。森保一監督のもとで黄金時代を迎えた華やかな雰囲気のなかで、日本プロサッカー選手会の会長を務めるベテランのFW佐藤寿人はあえて厳しい言葉を残している。

「疲れているなかで、大事な試合をあえて中2日にする意味がわからない」

 ガンバ大阪と対峙したチャンピオンシップ決勝。後半アディショナルタイムに2つのゴールを決める奇跡の逆転劇で、敵地・万博競技場での第1戦が決着を見たのが2日。翌日はクールダウン、翌々日は雌雄を決する第2戦へ向けたコンディション調整と、両チームは満足に練習ができない状況を強いられた。

 水曜日の平日開催でリーグ戦を戦った場合、週末の試合は中3日で日曜日があてがわれることがJ1の実行委員会では確認されている。疲労が抜け切らない中2日のスケジューリングは選手たちのけがにつながるし、お金を払うファンやサポーターを満足させるプレーの質を保つのも難しくなるからだ。

 その大原則が、シーズンを締めくくる大舞台で崩された。事前にわかっていたスケジュールではあるものの、実際にピッチでプレーした当事者だからこそ、佐藤は選手たちが抱いた思いを代弁したのだろう。

日程変更を許さなかったテレビ放送枠の都合
 違和感を募らせる矛先は、翌6日の日曜日に行われるJ1昇格プレーオフ決勝にも向けられた。

プレーオフ決勝を先にやってチャンピオンシップを後にしたほうが、日程面でもいいし盛り上がる」

 J1昇格プレーオフの準決勝が行われたのは11月29日。決勝まで中6日もある。12月第1週の週末のカードを入れ替えることで過密日程は劇的に解消されるが、今シーズンに関しては事情が許さなかった。

 チャンピオンシップ決勝は第1戦がTBS、第2戦がNHK総合と、ともに地上波で生中継された。Jリーグが獲得を目指すライト層へサッカーの魅力をダイレクトに伝える意味でも、地上波の生中継による露出は必要不可欠となる。

 しかしながら、第2戦が日曜日となると問題が生じてくる。NHK総合で生中継するとなると、ナイトゲームならば大河ドラマと、デーゲームならば毎年放送しているラグビー早明戦と時間が重複するからだ。

 決勝第2戦の視聴率は10.4%をマークし、広島地区に限れば35.1%という驚異的な数字を叩き出した。合同実行委員会内でも10%を超える数字を残したことで、「1000万人の視聴者が見てくれた」とポジティブにとらえられたという。

 延長戦の末にガンバが浦和レッズを下した準決勝も、NHK総合で生中継された。そのときの視聴率5.1%が決勝第1戦の7.6%を経て、右肩上がりの曲線を描いていった理由は明白だ。ピッチの上で手に汗握る死闘を連続して繰り広げた3チームの選手たちの頑張りが、ライト層の琴線にも触れたからに他ならない。

 だからといって、これからも選手たちに犠牲を強いていくわけにもいかないはずだ。佐藤が代弁した声に耳を傾けなければいけない。現状に満足することなくピッチで見せるプレーの質やレベルの向上を追求していかなければ、せっかく高まった興味や関心もスポイルされかねない。

多くの疑念を呼んだJ1昇格PO決勝の長居開催
 FIFAクラブ・ワールドカップが日本で開催される来シーズンは、今シーズン同様に12月第1週でJ1の年間王者を決める必要に迫られる。その一方で11月には国際Aマッチデーとホーム&アウェイで行われるACL決勝が入ってくる関係で、著しくタイトなスケジュールを余儀なくされる。

 チャンピオンシップはどんなに早くても、現状では11月の最終水曜日のスタートとならざるを得ない。条件が著しく制限されるなかで、いかにして選手たちがベストのパフォーマンスを演じる状況を作り出せるか。TBSやNHK総合を含めて、さまざまな議論が必要になってくる。

 そして、J1昇格プレーオフ決勝でも、開催されるスタジアムの「中立性」という点で問題が露呈した。

 決勝の舞台となったのはヤンマースタジアム長居。そして、決勝でアビスパ福岡と対峙したのは、同スタジアムをホームとするセレッソ大阪Jリーグ側が原則として「決勝は中立地で行う」と定めているだけに、決勝の組み合わせが決まった直後から疑問や異論が噴出したのも無理はない。

 実際、愛媛FCとの準決勝で引き分け、成績上位のチームが先に進めるアドバンテージを得た直後に、セレッソのある選手はこんな言葉を残していた。

「次はホームのような雰囲気でできるので、サポーターの後押しを受けて勝ちたい」

 J1昇格プレーオフは2012年シーズンから導入され、さまざまなドラマを生み出してきた。しかし、顕在化しなかっただけで、決勝戦の中立性に関する問題は昨シーズンから存在していた。

 2013年シーズンまでの舞台となった国立競技場が改修のために取り壊されたいま現在、数多くのファンやサポーターを集められる同規模の代替中立スタジアムは日本国内に存在しない。

成績上位クラブのホーム開催という対案
 Jリーグ側は全国のスタジアムから開催希望を募り、昨シーズンは味の素スタジアムが選出された。同スタジアムをホームとする東京ヴェルディが20位に低迷したこともあり、中立性を損なう問題は表面化しなかった。

 今シーズンもキャパシティが2万人以上であることが念頭に置かれ、全国から開催希望が募られた。その際には、前日にJ1のチャンピオンシップ決勝が開催されることを受けて、芝生の保護という観点からJ1のホームスタジアムが除外されている。

 そのうえでアクセスの利便性なども問われると、候補は極めて限られてくる。こうした状況から、さかのぼること3月中旬の実行委員会と理事会で、ヤンマースタジアム長居での開催が満場一致で決定・承認されていた。

 実行委員は各Jクラブの代表取締役が務める。決して低くない確率で起こりうる、セレッソJ1昇格プレーオフ決勝をホームで戦う事態を、クラブのトップが認めていたことになる。

 決勝戦の舞台のみがもち回りとなるヨーロッパのカップ戦では、当該スタジアムをホームとするクラブが勝ち進むことがある。記憶に残るのは2002年5月。フェイエノールトの本拠地デ・カイプでの決勝開催が決まっていたUEFAカップで、MF小野伸二(現コンサドーレ札幌)が所属していたフェイエノールトが勝ち進み、決勝では超満員の大歓声の後押しを受けてボルシア・ドルトムントに快勝した。

 UEFAチャンピオンズリーグを含めて、決勝開催スタジアムが決定するのはその数年前。こればかりは偶然で避けられないが、日本のJ1昇格プレーオフ決勝の場合は対案がある。

 新国立競技場が完成する2019年までの3シーズン限定で、成績上位クラブのホームで開催することだ。今シーズンに当てはめれば、3位でリーグ戦を終えたアビスパのレベルフィアブスタジアムとなる。

優先されるべきは競技面での公平性か
 Jリーグ村井満チェアマンは、Jリーグが主管するJ1昇格プレーオフ決勝を「3万人規模が集まる大きな関心のあるイベント」と位置づけている。だからこそアクセスなどの利便性を求めるが、その観点で選定すれば味の素スタジアムヤンマースタジアム長居の二者択一になりかねない。

 先の実行委員会では、J1昇格プレーオフ決勝のスタジアムについても議論が交わされた。村井チェアマンは、成績上位チームのホームで開催することに関しても慎重に言及している。

「降雪地域でのファイナルになったときに、もしくはプレスルームやプレス席が十分に確保できないスタジアムでの開催となったときにはどうなのか。皆さんに対する対応の部分と、競技面における公平性の部分の両面を抱き合わせて、来週の理事会での判断になると思います」

 降雪地域で実際に試合開催が不可能なほどの荒天に見舞われた場合を、村井チェアマンは指摘しているのだろう。プレスルームに関しては、J1のチャンピオンシップ第2戦の舞台となったエディオンスタジアム広島も極めて手狭で、急きょ廊下にテーブルやパイプ椅子を並べることで対応した。

 いずれの問題も恒久ではなく今後3シーズンの限定となれば、競技面における公平性を重要視する決定がなされる可能性は十分にありえる。となると、やはり歪な日程を含めたチャンピオンシップの開催方式問題が大きな比重を占めてくるのだろうか。村井チェアマンは言う。

「特効薬というものはないということをわかりつつ、それでも改善すべきところは改善してきたい。実際にやってみて、いろいろと修正すべきところもあると我々も思っています。今年の反省に先立って微修正やチューニングをしていくこともあるかもしれませんが、そこに関してはまだ継続議論でもあります」

 年内最後の理事会が開催されるのは15日。極めて煩雑だったチャンピオンシップのトーナメントの組み方を簡素化することを含めて、さまざまな話し合いがもたれる予定だ。そして、来シーズンの全体的なスケジュールを作成するうえでも、100点満点へ近づける作業は待ったなしの状況を迎える。