(セ・リーグ、DeNA2-0広島、22回戦、DeNA13勝7敗2分、23日、横浜)DeNAのアレックス・ラミレス監督(46)が今季限りで退任することが23日、分かった。チームは同日の広島22回戦(横浜)に2-0で勝ったが、今季のリーグ優勝の可能性が消滅。22年ぶりの優勝を目標に掲げていた中での“終戦”を受け、ホーム最終戦(日程は未定)後にも正式に発表される。後任には三浦大輔2軍監督(46)が就任する見通し。「ハマの番長」のもとで頂点を目指す。
悲願のVに届かなかった。試合には勝ったが、首位・巨人も勝って14・5ゲーム差は変わらず。優勝の可能性が消え、クライマックスシリーズ(CS)のない今季は日本一への道も絶たれた。
「優勝するチームは1つ。しっかり準備をしてシーズンに臨んだが、残念ながら期待に応えられなかった。勝ったり負けたりするのが野球。シーズンとして、われわれはベストを尽くした」
本拠地のファンに手を振り、気丈に振る舞ったラミレス監督だが、試合後は厳しい現実を直視した。関係者の話を総合すると、同監督は1年契約の満了に伴い、今季限りで退任する。
中畑清監督の後を受けて低迷が長く続いたチームの再建を託され、今季が5年目。これまでAクラスに3度入り、17年にはリーグ3位からCSを勝ち抜いて19年ぶりに日本シリーズ進出を果たした。レギュラー未経験の佐野を4番、主将に登用して不動の存在に押し上げたように、その指導力は高い評価を受けた。
一方で「8番・投手」のオーダーや、5・5ゲーム差で迎えた9月1日からの巨人3連戦で中継ぎのパットンを来日初先発させるなど斬新な采配に賛否渦巻いた。東、今永ら、けが人が相次ぐ戦力面の誤算もあったが、昨年10月7日に阪神とのCSファーストステージに敗れた後、契約を1年延長した際に南場オーナーから「来季は優勝しかないですよ」と伝えられており、勝負の世界で“約束”を果たせなかった意味は重い。
後任には現在2軍監督を務める三浦氏が就く見通しだ。球団幹部は「大事にしたいのは歴史の継承」としており、大洋時代からチーム一筋25年、通算172勝をマークした「ハマの番長」は、これ以上なく適任。前身を含めると2003、04年の山下大輔氏、元投手では1975、76年の秋山登氏以来の“生え抜き監督”誕生となる。
三浦氏は16年の現役引退後に米大リーグを視察するなど“外の世界”で野球を学び、19年に1軍投手コーチとしてDeNAに復帰。今季は2軍監督を務め、指導者として経験を積み重ねてきた。
かねて球団には将来の監督候補との意向を伝えられており、今季は「育成重視、勝ち負け重視の日を設けて戦っている」とテーマを掲げて2軍を指揮。足やバントを使った緻密な野球でイースタン・リーグ2位につける。チームの現状を熟知し、体制移行に支障もない。球団は今季の全日程終了後にも、複数年契約を正式に打診するとみられる。
23年ぶりの優勝を目指す来季は本拠地・横浜スタジアムで東京五輪が開催され、スポーツ界にとってコロナ禍克服も見据える年となる。レジェンドの“登板”に、未来への希望が託される。
■アレックス・ラミレス(Alex Ramirez)
1974年10月3日生まれ、46歳。ベネズエラ出身。91年にインディアンスに入団し、98年にメジャーデビュー。2001年にヤクルト加入。巨人に移籍した08年から2年連続MVP。12年にDeNAへ移籍。13年に外国出身選手初の日本通算2000安打を達成。14年はBCL群馬でコーチを兼任し同年引退。16年にDeNA監督に就任。17年に球団19年ぶりの日本シリーズ出場に導いた。日本通算成績は1744試合に出場し、打率.301、380本塁打、1272打点。180センチ、105キロ。右投げ右打ち。既婚。背番号80。
■三浦 大輔(みうら・だいすけ)
1973(昭和48)年12月25日生まれ、46歳。奈良・橿原市出身。高田商高から92年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入団。2004年のアテネ五輪では日本代表として銅メダル。05年に最優秀防御率、最多奪三振を獲得。16年に現役引退。通算535試合に登板し、172勝184敗、防御率3.60。17、18年は球団スペシャルアドバイザーを務め、19年にDeNAの1軍投手コーチとして現場に復帰。今季は2軍監督を務める。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。既婚。年俸1800万円。背番号18。