米司法省は20日、米IT大手グーグルを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで連邦地裁に提訴した。複数の米メディアが報じた。司法省は、グーグルがインターネット検索事業などで市場支配力を利用して不当に競争を妨げているとして違法行為の差し止めを求めたとみられる。米司法省の独禁法訴訟としては、1998~2002年の米IT大手マイクロソフト(MS)訴訟以来、約20年ぶりの大型訴訟となる。
グーグルが司法省の訴えに反論するのは確実で、訴訟の決着まで数年以上を要する可能性が高い。司法省の動きは、インターネットの普及を背景に急成長してきたグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン・コムの「GAFA」と呼ばれる米IT大手にビジネスモデルの転換を迫ることになりそうだ。
米国ではネット交流サービス(SNS)大手のフェイスブックで最大8700万人分の個人情報が流出し、16年米大統領選で不正利用されていた問題を受け、個人データの独占などGAFAの強力な市場支配力への警戒が強まっていた。司法省は19年7月、グーグルに対し独禁法違反で調査を開始。全米50州・特別区と協力して調査を進めていた。一部州政府も司法省の提訴に加わるとみられる。
一方、米下院司法委員会の反トラスト小委員会は10月6日、GAFAが独禁法に違反しているとの報告書を公表し、会社分割や独禁法改正による規制強化を提言した。グーグルについては、圧倒的なシェアを握るネット検索で、検索画面に自社サービスを優先表示するなどして独占体制を強めていると指摘していた。
グーグル
インターネット検索サービスを中核とした米国の巨大IT企業。1998年、米カリフォルニア州シリコンバレーで創業。世界シェアの約9割を占めるネット検索のほか、ネット広告、電子メール、地図、動画共有など多様なオンラインサービスを展開する。2015年に持ち株会社アルファベットを設立し、グーグルや新規事業をそれぞれ独立会社化した。アルファベットの19年12月期決算は、売上高1618億ドル(約17兆円)、最終(当期)利益343億ドル。従業員数約12万人。