世界空手連盟(WKF)は16日、新型コロナウイルス感染拡大により、東京五輪出場権を争う最後のポイント対象大会だったプレミアリーグ・マドリード大会(4月17~19日)を中止すると発表した。これにより、組手の男子67キロ級で佐合尚人(高栄警備保障)、女子61キロ級で染谷真有美(茨城県職)が五輪代表選手に決まり、男女の形と組手で代表全8人が出そろった。
同大会中止によって代表選手が決まった2階級は最後までもつれ、佐合と争っていた篠原浩人(マルホウ)との五輪選考得点差はわずか172・5ポイント。プレミアリーグで優勝すれば約1000ポイント、準優勝で約750ポイント加算でき、仮に両者が優勝争いに加われなかった場合にも、ひっくり返る可能性が十分あったほどの僅差だった。染谷真と2番手の森口彩美(AGP)は600ポイント差で、こちらも逆転可能だった。日本代表男子組手の林晃監督は、「選手たちは最後の最後まで試合に出たかったと思うし、我々としても試合で決着を付けさせたかった」と複雑な心境を述べた。
前日にWKFから全日本空手道連盟に、今月1日終了のプレミアリーグ・ザルツブルク大会(オーストリア)後の五輪ランキングによって五輪出場者が確定すると通達があった
。その旨は、まずは担当コーチを通じて選手本人にも伝えられた。林監督は、「出場できなかった選手たちは本当に悔しいと思う。ここまで頑張ってくれたことをねぎらい、そして本人たちの気持ちも話をよく聞いて、受け止めてあげたい」と、心のケアの重要性も口にした。